群馬大学医学部附属病院薬剤部は、「薬の効果や副作用を確認するとき、カルテに書かれていなければ薬剤師が患者さんを直接みなければ…」という考えからフィジカルアセスメント教育をスタートしました。
薬剤師が病棟活動するには、フィジカルアセスメントの実施とバイタルサインの把握が必要と考えたのです。そこで薬剤部は、看護師など医療人の教育に使用するスキルラボセンターを活用した実践的なトレーニングを開始しました。特に高性能総合シミュレータ「SinMan」を活用しての投薬シミュレーション研修を実現しました。
その上で実際に患者さんの身体に直接触れ、聴診器で患者さんの体内の音を聞いてお薬投与前後のバイタルサインを確認。その情報を医師に伝えて適切な処置につなぎました。
群馬大学病院薬剤部の取り組みは、院内だけでなく全国の病院薬剤部の薬剤師にも教育を提供しました。全国から病院薬剤師を受け入れて、教育を受けた薬剤師が病院に戻って最先端のフィジカルアセスメントを院内に広めました。10年ほど前のことです。
この教育を実現したのは薬剤部長・堀内龍也先生。後に日本病院薬剤師会会長になられました。チーム医療の推進に取り組み、薬剤師の病棟活動の実現に尽力しました。その活動が評価され2012年度の診療報酬改定で「病棟薬剤業務実施加算」が新設されました。薬剤師の病棟活動が評価され報酬面でも認められたのです。
薬剤師のためのフィジカル・アセスメント教育
